Margielaの魅力を語る
デビューコレクションから展開されて、既に30年もブランドのアイコンとして君臨するTabi(タビ)。
特に最近は皆様も街で見かけることがあるのではないでしょうか。
ブーツだけでなくサンダルやバレエシューズ、パンプスと様々なモデルが展開し、シンプルでありながらどこか気の利いたデザインは、マルジェラを象徴するアイテムの1つとして年代を問わず愛されています。
今日はそのスプリットトゥの魅力に迫っていきます!
ヒールの上に裸足で載っているような感覚のシューズ。
ヒールは横から見ると太くて高いが、前から見ると細い。
靴に対してこんなデザインイメージを持っていたマルジェラ。
彼がTabiをデザインしたのは、日本への旅から戻って来たばかりの時だったそうです。
それは足袋。15世紀までその歴史を遡ることのできる、日本の作業労働用の履きものでした。
そもそも足袋の起源は、奈良時代には存在したとされるシタウズ(襪)と呼ばれるもの。
富裕階級が用いた指の股の分かれていない鹿皮の一枚物から作られた外履きである為、単皮(タンピ)とも呼ばれていました。
しかし独特の臭いや材料の不足により、履き心地の良い木綿足袋が男女ともに普及し始めるようになり、中国との貿易が始まると、広く履かれるようになりました。
日本から戻り、早速制作にとりかかるマルジェラ。
1988年に自分のレーベルを設立する前、マルジェラはJean Paul Gaultierで働いており、それ以前には自分のシューズのラインを持っていました。
しかし、Maison Martin Margielaの初コレクションのために靴を作るとなった時、このTabiのデザインを引き受けてくれる靴の職人さんが見つからなかったそうです。
伝統的な工房にとって、つま先が割れているデザインは斬新すぎてなかなか受け入れてもらえませんでした。
偶然にもGaultier以前のマルジェラのシューズを、アントワープにある自身のショップ「Cocodrillo」で最初に取り扱ったゲルト・ブルルート(Geert Bruloot)が、
Margielaの未来の靴職人となる、イタリア人のアメリオ・ザガト(Amelio Zagato)を紹介してくれた事でシューズの生産が実現しました。
ブルルートによると、ディナーの席でにザガトにタビの試作品を見せたところ、この靴職人の目が輝いたそうです。
そしてTabiは1988年のMargielaのデビューとなったランウェイで、モデルが履くこととなりました。
この時デビューコレクションでは、ある仕掛けを行いました。
それは靴の底に色を付け足跡を残すこと。
後日マルジェラ自身はこう説明していました。
「観客はその新しい靴に気付くべきだと思ったんだ。とすれば、足跡よりもそれがはっきりと伝わるものがあるだろうか?」
靴に対し新しい型を作る予算がなかったマルジェラ。
ショーや新しいコレクション発表の時に靴が必要なら、Tabiを作り続けるしか仕方がなかったのですが、いくつかのコレクションが終わった頃にはTabiについて問い合わせが入るようになっていました。
伝統的なアイデアを使い、それにちょっとしたひねりを加えるという手法は反響を呼びました。
ランウェイに出演したモデルの中では報酬にTabiをリクエストしたモデルもいたそう。
どんどん需要が増え、問い合わせが途絶えることがなく、何度も伝統にならいリモデルされてきました。
コレクション毎に常に探求が繰り返される歴史ある定番アイテムとなり、今では様々なデザインが展開されています。
設立当初のコレクションから今日まで、この靴が全てのはじまり。この靴なしではマルジェラは語れません。
少し勇気がいるデザインとはじめて購入する時は少しハードルが高く感じるかもしれませんが、実際に着用するとスカートやパンツ、ボトムを選ばずマッチしバランスも良い万能選手です。
靴自体のシルエットは美しさが求められますが、ヒールの細さで美しさを表現するのではなく、円柱のように丸くカットされたヒールを施すことで曲線美で美しさを表現しています。
それのおかげで安定感があり、穿きやすいところも人気を集める理由の1つです。
ビリエッタでは直営店では取り扱いのない、ハーフサイズも展開を行っております。
末永く愛されるとても素敵な靴だからこそ、ベストなサイズで着用していただきたいので是非実際に履いてお試しいただきたいです。
夏にむけて提案されたトング型のサンダルがこの春夏入荷いたしました。
靴を脱いだ時にだけスプリットトゥのデザインが見え、ビーチサンダルのシンプルなデザインにモードのエッセンスをプラスしたスタイリッシュなサンダル。
ラバーソールでインソールにメゾンの象徴的なロゴ、鼻緒の右には白い1本のステッチが施されています。
後がレースアップになり、素肌の露出がより女性らしさを演出したサンダルです。
フロントはブラックレザーにしっかりと覆われている一方、踵部分は肌が見えコントラストが際立ちます。
レザーもくたっとした柔らかいタッチが履いていても心地がよく、靴の着用感を感じさせない軽やかさも魅力です。
バレエシューズのモデル。
こちらのモデルが個人的にTabiの中で入門編としておすすめしたいモデルです。
デニムやスカートに何気なく取り入れてもさらと馴染み、主張しすぎることがないシンプルなデザインがコーディネートし易く、はじめての方にも取り入れ易いです。
丸く太いヒールは、ばっさりとカットされ目立たなくなっていますが、靴の底を見ると後のヒール部分はちゃんと太くて丸いヒールが施されています。
サンダルタイプのこちら。
着用していると一見Tabiと分かりにくいのですが、脱いだ時にマルジェラの靴だと一目でわかるところがお洒落心をくすぐります。
ヒールは高さ3.5mmのシリンダー型。丸くて太いので安定感は抜群。
ブランドの象徴でもあるホワイトのステッチは、内側にさりげなく縫い付けられています。
スカートやショートパンツなど、脚の露出が多い時におすすめのシューズです。
【出典・参考文献】
https://www.ssense.com/ja-jp/editorial/fashion-ja/the-uncanny-appeal-of-margielas-tabi-boots?lang=ja
https://www.kind.co.jp/aoyama/archives/5384
https://baycrews.jp/blog/detail/3127742
https://www.fashionsnap.com/article/2019-07-05/rei-shito-archives-vol1/