今シーズンよりお取り扱いをスタートさせていただきましたMaison Margiela(メゾンマルジェラ)。
ファッションが好きな方はご存じかと思いますが、少しだけご紹介・・・と思いましたが、沢山紹介したい気持ちが。
つきましては連載でご紹介していきます。第1回はタグのお話。
Margielaの魅力を語る
奥が深いマルジェラのブランドタグ。
ブランドの名前が書かれておらず、カレンダーのように数字が並んでいるのが印刷されています。
この番号服によって数字に〇がされているのはご存じですか?
そしてこのブランドタグにはブランドの名前が書かれていません。
隅の4カ所だけを白い糸で簡易に縫われていますが、どうしてそんな簡易なんでしょう。
ブランドタグに隠された秘密に迫ります。
ブランドタグについて
通称、ナンバータグやカレンダータグと呼ばれるMargielaのブランドタグ。
0〜23までの数字がずらりと並んだマルジェラのタグのことで数字には意味があり、それぞれがラインを意味しています。
マルで囲われた数字がその服のラインということになります。
0 -『ARTISANAL(アーティザナル)』
1‐女性のためのコレクションライン
4‐女性のためのワードローブ
3‐フレグランスのコレクション(2010年誕生)
8‐アイウェアのコレクション
10‐男性のためのコレクションライン(2005年春夏より)
14‐男性のためのワードローブ
11‐女性と男性のためのアクセサリーコレクション(2005年秋冬より)
12‐ファインジュエリーのコレクション(2008年誕生)
13‐オブジェ、または出版物
22‐女性と男性のための靴のコレクション
6‐♀のための服(MM6)
最も値段が高く、また最も製作に時間を要するアイテムが展開されているのが「0」と「0 10」を冠する「アーティザナル」と呼ばれる解体再構築ライン。
マルジェラチームが世界中を旅して収集したアンティークやヴィンテージをひとつひとつ解体し、それらの構成要素を丹念に検討して、少しひねりを加え一着の衣服に仕上げた作品を展開しています。
ブランドの創立時より、発表しているコレクションでマルジェラの中でも特別な意味を持つラインです。
アーティザナルコレクションは、一点一点の制作時間が公表されているところも面白いところ。
表層的な華美さだけでなく、時間の概念までもデザインに昇華した、他とは違う指向性を持っています。
「0」のナンバリングラベルはまさにブランドの原点と言えるでしょう。
1着の服ができあがるまでに、膨大な時間がかかることもあり、現在ではコレクションの中に取り込んでいたり、エキシビジョンでの展開となっている。
そして男性と女性のラインが2つずつ存在するのは、ざっくり表現すると定番かそうでないかになります。
4と14のラインが、ワードローブと呼ばれていますが、定番のアイテムや過去のリバイバルが主になります。
時折、ナンバーが入っていない白いタグが存在しますが、女性のコレクションでよく使用されています。
6のMM6は、コンテンポラリーなラインとしてスピンアウトして誕生しました。
今ではライン、人気のブランドとして確立しています。
過去のマルジェラのアーカイブがデザインで使用されているので、マルジェラの世界観もしっかりと感じていただけるコレクションとなっています。
■MM6の商品の取り扱いはこちらからご覧いただけます。
ちなみにサンプルは、Sの文字が刻印されるみたいですよ。
今ではすっかりアイコンにもなった4つの白い糸のステッチ。
このタグはブランド設立した1988年に遡ります。
デザイナーであるマルタン・マルジェラと、クリエイティフ&ビジネスパートナーのジェニー・メイレンスにより誕生しました。
最初にブランド名をなくしたタグを作りたいと提案したのはジェニー・メイレンス。
当時1990年代はブランド志向がとても強くなっていく一方でした。
いつしか人々は洋服の質やデザインそのものより、ブランド力を重視して服を買うようになり、デザインの本質的な部分が重視されなくなりつつありました。
ブランドネームではなく、デザインが良く手に取ってもらいたいという、デザインを本来の姿に戻したい信念を象徴するものとして白のタグを提案したのがきっかけです。
「マルタンマルジェラの名前の付いたタグなんてつけるべきでない。」
「ブティックに入って、インパクトのある服を手に取った時ブランド名が書かれていない。その方が更に興味がわくでしょう?」
説得され、マルジェラ自身は最初あまり乗り気ではなかったそうだが、最終的に1つ条件を加えて賛成しました。
それが表側にはっきりとわかるように白い糸を4本縫い付けること。
そしてマルジェラのブランドタグが誕生しました。
「ブランド名で選んだのではなく、その服の良さに惹かれて選んだのであれば、ラベルなどいらないだろう」
それ故、昔ながらのファンは、この意思を汲んでブランドタグを外して着用する方もいます。
一方、今ではこの後の白いステッチが一目でマルジェラだと分かるアイコンになってしまっていたりも。
ブランドタグを外すべきか、残すべきか。
服が好きな人にとっても悩ましい議題であることでしょう。
それも個人のお好みで楽しんでいただきたいです。
着る人の体型にとらわれず、自身の思いのままに服を自由に着用してほしいというブランドは願っているので。
ブランドを設立して16年間、世間から高い評価を得ても2人は公の場に姿を魅せることがなく、服のタグと同じように徹底した匿名性を貫いたと言います。
そんな2人の話はまた次回に・・・。
参考文献:The New York Times Style